ASUS Zenfone 3 Max : サイズ、価格、そしてバッテリー容量までダウンした地味な後継機

待望の?Zenfone Maxの後継機種

発売日から数日経ってしまいましたが、Zenfone 3 Max(ZC520TL)を購入したので簡単にレビューしてみたいと思います。ご存知かと思いますが、Zenfone 3 MaxはASUSのスマートフォンZenfone 3シリーズの一機種で、4,100mAhという大容量バッテリーに特化した内容となっています。

個人的には、過去に何度かZenfone Maxの購入を検討したことがあったのですが、積極的に使う(ズボンのポケットに入れることも想定)にはサイズと重さがネックにならないか心配になったり、安売りセールを逃してしまったり、と購入が延ばし延ばしになっていました。

Zenfone 3 Maxが発表された際には、サイズ的にも価格的にも申し分ない!と思ったものですが、いざ発売日が近づいてくると、4,100mAhという前モデルより1,000mAh近く小さいバッテリーやあまりの不人気ぶりによる情報の少なさから、すぐに値崩れするのでは?と思うようになりました。そうこうしているうちに発売日が過ぎてしまったのですが、とある事情で急遽5インチ前後の端末が必要になったこともあり、購入に至りました。価格はほぼ定価ですがポイント還元が20%を超える日に購入したので、実質的には17,000円くらいでしょうか。

基本スペック

Zenfone 3 Maxの基本スペックは次の通りです。

OS Android 6.0
CPU CPU: MediaTek MT6737M クアッドコア
メモリ 2GB
ストレージ 16GB
ディスプレイ 5.2インチ 1,280×720(HD)
カメラ 1,300万画素/500万画素
バッテリー 4,100mAh
サイズ 149.5 × 73.7 × 8.55mm
重量 約160g

数値的には4,100mAhというバッテリー容量以外は特に注目すべき点はないかもしれません。所謂ミッドレンジと呼ばれる内容です。

日本では何故かスマホに関しては極端なハイエンド指向で、Mediatek、メモリ2GB、解像度1,280×720という数字が載っているだけで、論外・ゴミなんて一蹴する人が居たり、初心者向けだとか年輩の方にピッタリなんて言われたりしますが、普通の人が日常的に使う分には十分なスペックです。高出力スポーツカー以外は認めないという人達の声に惑わされないようにしましょう。

特にこの端末のようにバッテリーを長時間持続させるというコンセプトの端末であれば、バッテリーの搭載容量だけでなく、消費電力を抑えるという点も重要になります。ここで必要とされているのはパワーやスピードではなく、燃費・スタミナです。長距離マラソンに有利な筋肉だけ残してそれ以外は切り捨てた、と考えればこのスペックも多少は納得できるのではないでしょうか。(単にコスト的な都合でこうなっただけだと思いますが。)

Zenfone Maxの後継機種ではない?

前モデルのZenfone Maxが5,000mAhという大容量バッテリーを搭載していたので、後継機種であるZenfone 3 Maxのバッテリー容量が4,100mAhと発表されて落胆した方も多いかもしれません。実際にネットではそのような声が多く、購入した方の中には物足りないとレビューしている方もいるようです。

確かに正統な後継機種となれば、バッテリー容量は増えることがあっても、減ることは無さそうです。また、デザインや材質も前モデルがケースなしでツールとしてガシガシ使えそうな感じだったのに対し、Zenfone 3 Maxは外観重視のメタルボディ。後継機種として少々違和感があるのは事実かもしれません。

どのようなコンセプトでZenfone 3 Maxが製品化されたのか気になるところですが、その答えとなりそうなのが、Zenfone 3 Maxよりも前に中国で販売されていたPegasusというシリーズの存在です。

Zenfone Pegasus 3

Zenfone Pegasus 3は2016年6月に発表・販売されている中国国内向けのミッドレンジ端末です。主なスペックは次の通り。

ざっと見た限り、Zenfone 3 Maxと全く同じですね。対応バンドのアレンジくらいはあると思いますが、基本的に同じ機種と考えて良いのではないでしょうか。ちなみに、中国でもZenfone MaxはZenfone Maxとして販売されていますので、Pegasusは別シリーズです。もともとPegasusはZenfoneよりも廉価なシリーズという位置づけだったようですが、ラインナップを見る限り、あまり統制が取れていないようにも見えます。

Zenfone 3 MaxはもともとZenfone Maxの後継機種として企画・設計されたものではなく、Zenfone 3シリーズのラインナップを充実させる為にZenfone Pegasus 3を流用した。なんてことであれば、後継機種として違和感があるのも納得できるのですが、実際のところはどうなのでしょうか。ちなみに型番はZenfone Pegasus 3がX008でZenfone 3 MaxがX008DBです。

Zenfone Pegasus 3にはメモリ3GB、ストレージ32GB版もありますね。こちらがベースになっていれば、もう少し存在感を示すことが出来たかもしれませんが、日本におけるZenfone 3シリーズのバランスを考えると難しかったのかもしれません。

Zenfone Pegasus 3は日本からでも120ドル程度で購入可能ですが、販売店が中国国内向けファームウェアをカスタマイズして独自にGoogle Playなどをインストールしたカスタムファームウェアになります。公式アップデートが出来ないのは勿論、Google Play以外の何かが入っていない保証はありません。日常的に使うにはそれなりのスキルと覚悟が必要になりそうです。

ASUS Pegasus 5000

PegasusシリーズにはPegasus 5000 (X005)という大容量バッテリーモデルも存在します。Zenfone Pegasus 3より少し前に発表されたモデルで、その名の通り5,000mAhの大容量バッテリーを搭載。スペック的にも指紋認証機能こそないものの、オクタコア、メモリ3GB、Full HD(1920×1080)displayとちょっと豪華な内容で、Zenfone 3 Maxの5.5インチ版であるZC553KLとも異なった構成です。

このPegasus 5000がZenfone 3 Maxのベースになっていたら飛びついた人も多かったのではないでしょうか。ちなみに海外通販サイトでは120ドル程度で入手可能です。カラーが金と白×金の2種類しかないというのが微妙ではありますが・・・

本命はZenfone 3s Max?

日本ではまだ正式アナウンスされていませんが、Zenfone 3 Maxには上位機種としてZenfone 3s Max(ZC521TL)という機種がアナウンスされています。中国ではZenfone Pegasus 3sとして発表されたようですね。Zenfone 3 Max発売のタイミングでこのような情報が出るのはどうかと思いますが、インドでは2017年2月にも発売されるという話もあります。

Zenfone 3s Maxは5.2インチのままバッテリー容量が5,000mAhとなっていて、その他のスペックも1.5GHz オクタコア、メモリ3GB、32GBストレージと贅沢?なものになっていますので、正統な後継機種として期待できそうです。

しかし、Zenfone 3s MaxはZenfone 3 Maxでは背面にある指紋認証が前面にあったりと、外観上は姉妹機種とは思えない構成です。このあたりの場当たり的なチグハグ感がASUSらしいと言えばASUSらしいのかもしれませんが。

是非日本でも発売して欲しいところですが、現在のZenfone 3シリーズのラインナップのバランスを考えると、日本では発売されないという可能性も考えられます。さて、どうなりますでしょうか。

その後・・・
インドではZenfone 3s Maxの販売がスタートしたようです。販売価格は14,999ルピー。1ルピーは1.66円程度なので約24,898円。Zenfone 3 Maxは12,999ルピーということで約21,578円。日本での販売価格帯にかなり近いですね。日本でも同じ条件で発売されるといいのですが。

5,000mahのバッテリーを搭載しているにも関わらず、サイズは73.7 x 149.5 x 8.85mm、175gですので、Zenfone 3 Maxと大きく変わりません。たった3千円の差でAndroid 7.0、オクタコア、メモリ3GB、ストレージ32GB、F2.0レンズ搭載カメラ、5,000mahバッテリー、LTE待受時間最大34日となれば、Zenfone 3 Maxの立場は相当微妙になりそうです。普通に考えれば、立て続けに発表して併売するメリットは無さそうですが、実際にインドでは併売されているので良くわかりませんね。

直近のライバルはFREETELのPriori 4か

4,000mAhの大容量バッテリーを搭載したスマホという点では、直接のライバルはFREETELのPriori 4かもしれません。Zenfone 3 Maxと同じ2017年1月の発売で14,800円とZenfone 3 Maxより5千円安い価格設定です。

液晶5.0インチ、カメラ800万画素、指紋認証センサー無し、カジュアルなプラスチックボディとZenfone 3 Maxとは少々キャラクターが異なりますが、通話主体でバッテリーを重視するのであれば、Priori 4を選択するのも悪くなさそうです。

少し面白いのは、同じようなバッテリー容量でありながら、Priori 4は連続待受時間19日(LTE)、Zenfone 3 Maxは30日(3G)と謳っていて、売りにしている連続待受時間には大きな開きがある点です。LTEと3Gでは単純に比較出来ないにしても、このあたりをどう考えるかですね。(ちなみにZenfone 3 Max公式サイトにLTE連続待受時間のデータはありません。)

後はどちらのメーカーが信用できるかという問題になりそうです。個人的にはどちらも印象はあまり良くなかったりしますが・・・

開封レビュー

前置きが長くなりましたが、ここからがZenfone 3 Maxのレビューです。

パッケージに関しては全く高級感がありません。上位機種との差別化かもしれませんが、このあたりは最近の100ドル以下の中華スマホが頑張っている感じです。

中身はこんな感じ。大容量バッテリーを活かして、他の端末を充電できるリバースチャージという機能があるのですが、そのリバースチャージ用ケーブルが入っていました(左上)。

外観はメタルボディでスタイリッシュ


外装はメタルボディでこの価格帯の割には安っぽさがありません。前モデルやZenfone 2シリーズとは異なり、6以降のiPhoneに少し似た感じでしょうか。殆どのZenfoneシリーズにあった、前面下部の3つの操作ボタンもありません。液晶画面側で必要に応じて表示されるようになっています。このボタンに関しては便利ですが、今となっては古い又は安物というイメージしか無いので、液晶側に移すのは個人的には歓迎です。しかし、上位機種のZenfone 3 DeluxeやZenfone 3 Ultraを含めたZenfone 3 Max以外の機種はすべてボタン付きなので、このモデルが異端児ということになります。

厚みは最近の薄さを追求した機種と比べれば少し厚いのかもしませんが、大容量バッテリーだからといって、あからさまに厚いわけではありません。違和感なく普通という印象です。前モデルのようなごっつい感じはありません。

Zenfone 3シリーズから指紋認証に対応するようになりましたが、Zenfone 3 Maxにも指紋認証センサーが搭載されています。速度的には及第点といったところでしょうか。それまで使っていたHuawei Ascend Mate7と比較するとワンテンポ遅い感じですが、認識自体は正確で十分実用の範囲内。この価格帯で搭載している点は評価しても良いのではないでしょうか。中国では指紋認証センサーが搭載されている100ドル以下の端末も出てきていますので、今後は標準搭載になっていくかもしれませんね。

右側の側面にボリュームボタンと電源ボタンがあります。

左側側面にはSIMトレイ。SIMはMicroSIMとNanoSIMの2枚を搭載することが可能ですが、nanoSIMとmicroSDは排他利用となっている為、microSDを使う場合はnanoSIMは使えないことになります。大半の方はmicroSDを使うと思いますので、ちょっと理解に苦しむ仕様ですね。ちなみDSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)ではありません。

スピーカーが背面にあるのはちょっと違和感がありますね。音質云々ではなくて、鳴ればいいという感じでしょうか。

Huawei Ascend Mate7(6インチ)とのサイズ比較。 Mate7はズボンのポケットに入れるのはちょっと無理があるサイズでしたが、Zenfone 3 Maxであれば何とか大丈夫な感じです。多少無理があることには変わりませんが。

microUSB端子は右端に設置されています。汎用充電スタンドなどは使えないかもしれません。

ATOK搭載が嬉しい初期アプリ

起動直後の初期設定画面です。

ホーム画面はこんな感じ。

初期アプリはこんな感じ。Zenなんちゃらというアプリ大量に入っているかと心配しましたが大丈夫でした。この価格帯でもATOKが入っているのは嬉しいですね。

Antutu Benchmark ベンチマーク結果

初期状態にAntutu Benchmark V6.2.7のみインストールして実行した結果です。ハイエンドモデルとは比べるまでもないスコアですが、日常利用であればストレスを感じる事は無い筈です。性能を上げれば、その分バッテリー消費は増えるでしょうから、製品コンセプト的にもこれくらいで良いのではないでしょうか。

メイン端末には無理だけどセカンド端末としてなら・・・などと書かれていることがありますが、ゲームは一部を除いて大半は問題無く動きますし、十分にメイン端末として使えます。お目当てのゲームがある場合は、そのゲームがきちんと動くかどうかだけ事前に調べてください。車で例えるならフィットなどスモールカークラスでしょうか。もっと高性能なものもありますし、花が無いも知れませんが、見栄を張らなければ十分に使える内容ですよ。(そもそもメイン端末云々はマニアの発想ですから)

起動にかんしては、他の端末よりも起動に時間が掛かるような気がしました。また機会があれば、起動時間を計測してみたいと思います。

センサー類は必要最小限ですね。ジャイロなどは「サポートしない」となっています。

肝心のバッテリー性能は?

Antutu Testerのバッテリーベンチマーク結果です。一番短時間で終わる4%モードでのテストなのであまり正確ではないかもしれません。ちなみに、負荷を掛けた際のバッテリー性能はZenfone 3の方が上という話も出ているみたいですが、Zenfone 3のバッテリー容量は2,650mAhで、連続待受時間434時間 (3G)となっていますので、連続待受時間720時間 (3G)のZenfone 3 Maxの方がカタログ上は大きくリードしています。このあたりは高負荷アプリの使用頻度によって評価が変わってくるのかもしれませんね。

待ち受け重視なのにバッテリーが持たないという方は、端末ではなくSIMがバッテリー消費の原因になっていることもあります。複数の事業者のSIMをお持ちでしたら、SIMを変えて様子をみてください。Zenfone 3 Maxもスリープ状態によるバッテリーテストを行いたいところですが、このテストを行っている間は端末を使用することが出来なくなってしまうのですぐには難しいかもしれません。ただ、待ち受け時間の検証データやバッテリーテスト結果を掲載しているサイトも殆どありませんので、環境が整ったら試してみたいと思います。

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2015.06.16

カメラ性能は及第点

サンプルが無くて恐縮ですが、Zenfone 3 Maxのカメラで撮影したファイルのデータを見る限りF値は2.2となっています。それなりに暗いところでも明るく撮影できますが、60ドル程度の中華スマホでもF2.0のカメラを採用している例(時間があれば後日紹介)もありますので、及第点といったところでしょうか。

オートフォーカスに関しては正直遅いと感じました。レーザーの有無など関係無く、普通に遅い。100ドル以下の端末という印象です。大事なところでシャッターチャンスを逃す可能性は大いにあるでしょうね。ここはもう少し頑張って欲しかったですね。

カメラの撮影モードは標準的な内容で、背景をぼかしたりできる単焦点モードや文書スキャンモードといった流行の機能はありません。

画質も及第点。一見悪く無さそうでも拡大してみるとそれなりな感じですね。もともと、ASUSのスマホのカメラの画質はあまり良い評判を聞いた事がないので、まぁこんなものでしょう。実用レベルでは問題ありませんが、スマホで素敵な写真を撮ってやる!という方はもう少しお金を出して良いスマホを買った方が良いかもしれません。

結局、Zenfone 3 Maxってどうなの?

性能は程々、ゴツくなくて普通っぽい外観でバッテリー容量は多めが良いという方にはZenfone 3 Maxは良い選択肢になるかもしれません。でも、Zenfone 3s Maxが日本で正式に発売されるとなれば、ただでも薄いZenfone 3 Maxの存在感は無くなってしまうかもしれませんね。Zenfone 3s Maxの価格次第では、存在価値を見出すことが出来ますが・・・

急いでいない方はZenfone 3s Maxの動向を確認してから購入しても良いのではないでしょうか。迷っている方は取り敢えずZenfone 3 Maxを買ってしまいましょう(くれぐれも自己責任でお願いします)。 外観・質感はなかなか良く出来ていますので、程々の性能であることを前提に購入するのであれば、ガッカリすることは無いと思います。

ちなみに、ヤフオクなどでZenfone Pegasus 3が販売されているのを見かけますが、前述の通りファームウェアの問題がありますので、価格的に大きなメリットがない限りオススメしません。メイン端末としてガッツリ使いたい方は正規日本語版を購入するようにしましょう。