Retro-Bit Generations(レトロビットジェネレーション)は、爆発的人気となったニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータとほぼ同時期となる2016年11月に、アメリカで発売されたゲーム機です。
$59.99という低価格ながら、過去の名作ゲームが大量に収録されていて、HDMIケーブルで繋ぐだけですぐに遊べる。コンセプトはニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータとそっくりですが、Retro-Bit Generationsに収録されているゲーム数は何と100個。ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータが30個であることを考えると、かなりお得な感じです。収録されているのは、カプコン、データイースト、アイレム、ジャレコなどのゲームで、ファミコン版、スーパーファミコン版、ゲームボーイ版だけでなく、アーケード版がそのまま収録されているものもあります。海賊版ハードにありそうな構成ですが、今回は一応ライセンスを受けて販売しているようです。
しかし、発売後の評判はニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータとは対照的に芳しくない・・・ 今回は実際にどこがイマイチなのかも含めて、このRetro-Bit Generationsをレビューしてみたいと思います。ちなみに購入価格は$31.32。発売から一ヶ月も経っていない12月の上旬でこの価格ですから、かなりの不人気ぶりです。簡単な改造で機能を拡張する方法も発見されましたが、それでも大した盛り上がりにはなっていないようです。
収録されているタイトルリスト
一応、Retro-Bit Generations(海外版)に収録されているゲームの一覧(※)を載せておきます。公式サイトにも、それぞれのゲームがファミコン版なのかアーケード版なのかといった情報は書かれていません。遊んで確かめろというスタンスなのでしょうか。
- 1942
- 1943
- 2048
- 10 Yard Fight
- Aguna
- Apocalypse II
- Argus
- Astrohawk
- Astyanax (Lord of King)
- Avenging Spirit
- Banishing Racer
- Bases Loaded
- Bashi Bazook: Morphoid Masher
- Battle Squadron
- Battle Unit Zeoth
- Big Run
- Bionic Commando
- The Black Bass
- The Blue Marlin
- Brawl Brothers
- Broken Circle
- Captain Commando
- City Connection
- Commando
- Corn Buster
- Creepy Bird
- Escape from Atlantis
- ExedExes
- Exerion
- Field Combat
- Forgotten Worlds
- Formation Z
- Fortified Zone
- Free Fall
- Ghosts n’ Goblins
- Gun Smoke
- Hammerin Harry
- Hero Pinball Party
- Higemaru
- Holy Diver
- Hoops
- The Ignition Factor
- Ikari No Yousai 2
- Image Fight
- Jim Power
- Kaitetsu Yanchamaru 3
- Kickle Cubicle
- Kid Niki Radical Ninja
- Knights of the Round
- Kung Fu
- Kung Fu Master
- Lan Master
- Lawn Mower
- Legend E
- Major Title Golf
- Maru’s Mission
- Mazezam
- Mercs
- Mr. Bloopy
- Night Defender
- Night Defender 2
- Ninja JaJaMaru-Kun
- Ninja JaJaMaru no Daibouken (Ninja Kid’s Big Adventure)
- Onslaught
- Operation Logic Bomb
- The Peace Keepers
- Pinball Quest
- Questforge
- R Type 3
- Ring King
- Rival Turf
- Rockfall
- Rocky Rodent
- Rod Land (Game Boy and NES versions)
- Skip And Friends
- Smart Mouse
- Soldam
- SonSon
- Sumo Slam
- Super Bases Loaded
- Super Bases Loaded 3
- Super Earth Defense Force
- Super Ghouls n’ Ghosts
- Super Noah’s Ark
- Super Professional Baseball
- Super R-Type
- Sword of Sodan
- Thor’s Quest
- Totally Rad
- Tuff E Nuff
- Varth: Operation Thunderstorm
- Water Margin
- Yang Warrior Family
- Youkai Kurabu
- Zippy Race
- Zooming Secretaries
・・・と、ここまで載せてから気付いたのですが、どうも上のものは発売前のタイトルリストのようです。手元のRetro-Bit Generationsと内容が少し異なります。直前で内容が変わっているみたいですね。正式な収録リストを知りたい方は公式サイトを参照してください。
ちなみにキャプテンコマンドー、ロストワールド(フォゴットンワールド)、大魔界村、ナイツオブラウンド、Varthはアーケード版(英語版)がそのまま収録されています。最悪、これだけでも元は取れる感じでしょうか。他にもイメージファイトなどのアーケードタイトルがリストアップされていますが、残念ながらファミコンなどの家庭用ゲーム機版です。
開封と内容物の確認
早速、Retro-Bit Generationsの内容物を見ていきたいと思います。

今回はAmazon.comで購入しました。購入価格は$31.32で送料は$8くらいだったと思います。実際に支払ったのは日本円で5千円弱ですね。正確には覚えていませんが、1週間ちょっとで届いたと思います。

Retro-Bit Generationsのパッケージです。カプコンのキャラクターやゲームロゴを前面に押し出したデザインです。これはちょっと期待したくなりますよね。

100本収録という文字がシールで修正されています・・・

パッケージの裏面。表面と比べるとちょっと地味な印象です。

ゲームリストも何故かシールで修正されています。発売直前に収録内容の変更があったのでしょうか。

Retro-Bit Generationsの主な特徴が書かれています。

開封。本体、コントローラー2個、ACアダプター、AVケーブル、説明書が入っていました。残念なのは、HDMI接続をウリとしながらHDMIケーブルが入っていない点ですね。

Retro-Bit Generationsの本体です。格好いいわけでもなく、面白味があるわけでも無く、何とも言えないデザインですね・・・ 正面に見えるのはコントローラー接続用のUSB端子です。

本体の幅はコントローラーと同じくらい。かなりコンパクトです。

左から、SDカードスロット、HDMI端子、AV端子、ACアダプター端子です。SDカードはゲームの進捗状況をセーブする為に使用します。ゲームを追加する為のものではありません。(が・・・)

付属のACアダプター。5.0V、1.0Aとなっています。

付属のコントローラーです。色は異なりますが、メガドライブ2に付属していたファイティングパッド6Bと全く同じに見えます。MDコンパクトにも似たようなコントローラーが付属していましたね。Retro-Bit GenerationsにはUSB接続のものが2つ付属しています。十字キーの操作性はファイティングパッド6Bとは若干異なり、斜め入力が上手く認識されないことがあり、ゲームによっては少し違和感がありました。

右上にあるモードボタンはゲーム中にRetro-Bit Generationsのメニューを出す為に使用します。メニューからゲーム一覧に戻ることが出来ます。ちなみにこのコントローラーはWindowsでも汎用USBコントローラーとして使用することが出来ました。残念ながら、汎用USBコントローラーをRetro-Bit Generationsで使うことが出来ないようです。幾つか試してみましたが、全く反応がありませんでした。
起動して遊んでみる
別途用意したHDMIケーブルでPCモニタにつなげてRetro-Bit Generationsを起動してみます。HDMI接続ということで、PCやレトロフリークのようにドットがはっきりとわかる画質を期待したのですが、思ったほどではありません。S端子接続より少し良い程度でしょうか。ノイズやブレはないので、ゲームをするのに支障はありませんが、クッキリ・ハッキリを期待するとがっかりしてしまうかもしれません。

今回のレビューでは海外版のRetro-Bit Generationsを使用していますが、設定の言語項目で日本語を選択することで日本語表記にすることが可能です。但し、ゲームタイトルは日本語になりませんし、日本語表記自体も翻訳ソフトに掛けただけという感じの怪しい日本語なので、無理に日本語にしないでデフォルトの英語表記のままの方が良いかもしれません。

キーコンフィグが用意されているので、ゲームごとに好みのボタン配置を設定することができます。デフォルトではファミコンのボタン配置がAB逆になっているので、設定してやらないと遊びにくいと思います。

ゲーム選択が面です。右側にゲームのスクリーンショットが表示されますが、ゲームの概要や操作説明は無いようです。

カプコンのキャプテンコマンドー。これはアーケード版がそのまま収録されています。

同じくカプコンの大魔界村。アーケード版です。若干動きがぎこちないような気もしますが普通に遊べます。

1943。残念ながらファミコン版です。これは是非アーケード版を収録して欲しかったのですが、システム的に縦長画面に対応出来なかったのでしょうか。同様に1942、エグゼドエグゼス、イメージファイトといった縦スクロールシューティングゲームはファミコン版での収録となっています。しかし・・・

何故かカプコンの縦スクロールシューティングゲームであるVarthだけはアーケード版を収録。

それも横向きでの収録です。半時計回りに90度回転なんて機能は用意されていませんので、モニタを回転させるか、自分が回転するしかありません。Retro-Bit Generationsを象徴するようなゲームですね。マニア受けを狙って忠実に再現したのか、それとも、やっつけで適当に収録したのか。それは購入した方が判断すれば良いと思いますが、前述の通り、他の縦スクロールシューティングゲームはファミコン版を収録しているわけですから、やはり後者と考えるのが普通でしょうか。

ちなみにこんなゲームも収録されています。

キャラクターこそ異なりますが、ゲーム内容はドンキーコングそのものです。しかも、デモ入りで4面構成。版権的な問題もありますが、オリジナルゲームを入れている時点でRetro-Bit Generationsのコンセプトは崩壊してしまっているような気もします・・・

同じくPOPULAR RETRO GAMESというコンセプトから外れていると思われるソフト。スマホであったゲームですよね。ボタンで鳥を上昇させて障害物を避けながら右に進んでいきます。このようなソフトも100本の中の1本としてカウントされているので、収録数だけで判断すると痛い目に遭いますよ。

SNES(スーパーファミコン)のゲームも幾つか収録されていますが、エミュレーターの質が良くないのか、BGMが早送りのような状態。じっくり遊ぶには厳しい内容です。

ゲームボーイのゲームも幾つか収録されていますが・・・

HDMI接続にも関わらず、全体的にぼやけた画質です。ドットが目立たないように何らかのフィルターを掛けたのだと思いますが、ぼやけすぎていて長時間遊ぶと目が悪くなりそうです。

ファミコン系は比較的安定していて、忍者じゃじゃ丸君のように普通に遊べるゲームも収録されています。

何かと微妙な点が多いRetro-Bit Generationsですが、入手困難なマイナーゲームが収録されていたりするので侮れません。上記のLegendは日本未発売のゴールデンアックスタイプのベルトスクロールアクションゲーム(SNES)です。

The Yang Warrior Familyは90年代に中国?で作られたベルトスクロールアクションゲーム(メガドライブ)。ゲームそのものの質は高くありませんが、日本未発売のソフトが手軽に楽しめるのはなかなか良いのではないでしょうか。
レトロビット ジェネレーションの日本語版について
日本では日本語版レトロビット ジェネレーションが2017年1月1日に株式会社JNNEXから発売になりました。発売時の価格は実売8千円前後だったでしょうか。海外で販売されているRetro-Bit Generationsとは収録されているソフトが異なっていて、収録されている本数は全部で80本。海外版で一番のウリであったカプコン関連ソフトが除外されてしまっています。中古市場では高騰してしまっているR-Type 3も何故か日本語版には収録されていません。代わりに収録されたソフトもあるようですが、内容的には海外版の方が充実しているのではないでしょうか。

日本語版レトロビット ジェネレーションの収録タイトルは次の通りです。
- 10ヤードファイト
- Aguna
- Alfred Chicken
- Apocalypse II
- アーガス
- AstroHawk
- Lan Master
- ファンタズム
- バニシングレーサー
- Bases Roded(野球ゲーム)
- 燃えろ!!プロ野球
- バイオ戦士DAN インクリーザーとの闘い
- Battle Squadron
- バトルユニットZEOTH
- ビッグラン
- ラッシング・ビート乱 複製都市
- Broken Circle
- シティコネクション
- Corn Buster
- Creepy Bird
- Dorke N Ymp
- Escape From Atlantis
- エスパ冒険隊
- エクセリオン
- フィールドコンバット
- フォーメーションZ
- 怒りの要塞
- Free Fall
- Gadget Twins
- 大工の源さん
- ヒーロー集合!!ピンボールパーティ
- ホーリーダイヴァー
- 燃えろ!!ジュニアバスケット
- 怒りの要塞2
- イメージファイト
- Jim Power
- 燃えろ!!柔道WARRIORS
- 迷宮島
- 怪傑ヤンチャ丸2
- 怪傑ヤンチャ丸
- クンフーマスター2
- Lawn Mower
- Legend E
- メジャータイトル
- おいらじゃじゃ丸!世界大冒険
- MazeAm
- 妖怪倶楽部
- Mr. Bloopy
- Night Defender
- Night Defender 2
- 忍者じゃじゃ丸くん
- じゃじゃ丸 の大冒険
- Onslaught
- 怒りの要塞
- ピンボールクエスト
- ピザ・ポップ
- プラズマ・ボール
- Quest Forge
- リングキング
- Rockfall
- ニトロパンクス マイトヘッズ
- 妖精物語ロッドランド(GB)
- 妖精物語ロッドランド(FC)
- ラッシング・ビート修羅
- Skip and Friends
- Smart Mouse
- ソルダム
- Super Alfred Chicken
- スーパーE.D.F
- スーパー R-TYPE
- Sword of Sodan
- ザ・ブラックバス
- ザ・ブルーマーリン
- ファイヤー・ファイティング
- Thors Quest
- Super Noahs Arc 3D
- World Reborn
- Yang Warrior Family
- ジッピーレース
- Zooming Secretaries
こうしてみると、ジャレコ祭りとも言える内容ですね。評判が良ければ続編もという話もあるようですが、どうなりますでしょうか。
結局、Retro-Bit Generationsって・・・・
ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータと比べると完成度が低い言わざるを得ない感じですね。版権的にもこれ大丈夫なの?というものも含まれていますし、縦スクロールゲームを横にして収録したりと、海賊版ハード並に適当です。スーパーファミコン版のソフトなどは妙に音楽が速く流れたりとエミュレーターの完成度も高いとは言えません。折角、正規のライセンスを受けて製品化したわけですから、もっとしっかりと作り込んで欲しかったですね。ライセンスしたメーカーもよくこれでOKを出したなぁと。評価が低いのも頷ける内容です。
・・・が、実は海外では既にこのハードがハックされていて、搭載されているエミュレーターとSDカードを利用したマニュアルには書かれていない遊び方が発見されています。ここでは具体的には触れませんが、そちらの分野で活用する環境が整っている方には、それなりに価値のあるものとなるのかもしれませんね。
裏技の話は別として、Retro-Bit Generationsは前述の通り、やや完成度に疑問が残る内容ですので、収録ゲームリストを見て、思い入れのあるゲームがあるようでしたら、購入もアリかもしれませんが、何となく沢山ゲームが入っていてお得かもとかニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータの代わりにという軽いノリで購入すると痛い目に遭う可能性があると思います。特に思い入れも無いどうでもいいゲームであれば、2~3千円で販売されているファミコン互換機に大量に収録されていますし、スマホであればいくらでも無料で遊べます。ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータとは色々な意味で別物ですので、購入を検討している方は収録ゲームをよく確認してから決めた方が良いかもしれません。購入される方は海外版と日本語版の違いにも注意してください。